ポートランドで働く駐在員の雑記

20代駐在員の雑記。オレゴン州ポートランドで働いています。働き方・英語学習・アメリカの話・Netflix・ゲーム・Youtube等

アメリカ人ゲーム実況者のFF8配信を観たら面白かった

コロナ自粛が始まってから、アメリカ人Youtuberのゲーム実況動画視聴を趣味としている。色々見たところ、海外勢はチームを組んで複数人で実況することが多く、会話が絶え間なくあって飽きない。

 

視聴する第一目的は英語勉強のためだけではなくて、

・単純に昔好きだったゲームの物語を再度楽しみたい
・日本語版と英語版の違いが興味深い
・配信者とリスナーの反応が面白かったりする(所謂、"海外の反応"というジャンルになるのだろう)

 

というわけで、7月前半にかけてThe NyanCaveによるFF8実況を一通り観た。生配信をそのままアーカイブとして挙げているので、1動画あたり無編集で2時間ある。クリアまでPart28あり合計56時間ほどだ。もちろん、ただ戦闘しているだけのPartは飛ばしているがストーリーの確信部分はだいたい観た。

youtu.be

 

印象に残った点をいくつか挙げてみる。

 

 

FF8の序盤でプレイヤーに衝撃を与えた有名なシーン

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日本語版:だったら壁にでも話してろよ。

キスティスが年下であり生徒のスコールに思い切って悩みを打ち明けるが、「だったら壁にでも話してろよ」と一蹴される伝説のシーン。「I don't care」とかだったらどうしようと杞憂した。変に意訳してなくて安心した。

リスナーのコメント欄では「Awwwww」というコメントが多数。これ、感嘆のAhaaa or Ohhhhを表すスラングで、可哀そうとか悲しいとかの気持ちを表現する。日本のネットスラングである「www=笑い」とは真逆の意味なので注意。

 

ラスボス戦での演出が翻訳のせいで微妙だった

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おまえの思う、最も強い者を召喚してやろう

 

当時子供ながら鳥肌が立ったラストバトルのあるシーン、窮地に立たされた魔女アルティミシアが「スコールが最も強いと考えるもの」を具現化して召喚する。それはお守り代わりにしていたネックレスのキャラクターだった。ストーリー中盤でその名前をプレイヤー自身が名付けることができるが、それ以降話に挙がることはなく、誰もが忘れかけていた最終戦で、敵の召喚獣としてようやく伏線回収される。

 

日本語版

「おまえの思う、最も強いものを召喚してやろう」

「おまえが強く思えば思うほど、それはおまえを苦しめるだろう」

英語版

「The most powerful GF ... You shall .... SUFFER...」

 

うーん、だいぶ省略されている。案の定、彼らは最初ただのベヒーモスかバハムートが召喚されたと思っていた模様。そしてリスナーが↓のような日本語版での直訳を補足してくれたおかげで理解できていた。その後、コメント欄で昔のFFは翻訳がダメという話がチラホラ出てくる。他にも沢山あるのだろう。

 

The original text is : I will summon the one you believe is most powerful. The stronger you believe he is, the stronger he becomes.
Japanese text explains it as she made a GF out of what Squall thought was the strongest being possible.

==>「so... such a Squall's imagination?」

 

それにしてもリアルタイムで日本版のセリフを教えてくれるリスナーたちは一体何者なんだ・・・。

 

ママ先生の英語訳は「Matron」

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ママ先生

スコールたちは物語途中から魔女イデアのことを孤児院時代の先生だと知り、子ども時代の呼び名の通り「ママ先生」と呼ぶ。ママ先生!?と急に幼稚な響きになって驚いた記憶があるが、英語版では寮母を意味する「Matron」となる。

 

~おじゃる、という語尾

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おじゃる

オダイン博士の語尾は日本語版だと「~おじゃる」で浮世離れした特徴的なキャラクターを描いている。英語版だと、thやs, zのサウンドをすべてZに置き換えることで、口語に癖があることを表現。

アルティミシアもcがkになっていたりする。このようなギミックは、洋書の会話文でたまに目にする。綴りをあえて間違わせたり、小文字と大文字をあべこべに混ぜたりする。

 

エヴァンゲリオンの影響、90年代後期の雰囲気について言及

クリア後の感想で、このゲームが99年に発売されたことに対してどう思うか、とのリスナーの問いに、その近辺の作品はすべて当時の近未来への恐れが反映されているんじゃないか、という考察があった。96-7年あたりのエヴァブーム、97年のFF7に続き、精神世界での戦いや世界終末=アポカリプス感はなんとなく似ている(まぁFF作品はどれもそんな感じの雰囲気だが)。日本では「2000年問題」と騒がれたが、アメリカでは「y2k」という用語があったらしい。もしかしたら日本でもIT界隈では有名だったのかも。そんな世相を思い出すね、と話していた。

 

ちなみにリスターからは、「y2kとは2020のことだった」「2020がまさにそうだ」というコメントがあった。
まさにその通り。今年はアポカリプスだ。

 

 

ゲーム実況動画はNativeとの英語リーディングスピードの差を知ることができる

このFF8実況動画は、基本全セリフを彼らが復唱するためそこまで気にならないが、ゲーム中の些細な会話や説明文を読み飛ばすときがある。彼ら自身が理解したらどんどん会話をめくっていく。

たまに、こちらが読んでいる途中で飛ばされることがあり、そのときはNativeとのリーディング力(理解スピード)の差を思い知らされる。僕はTOEICのリーディングパートでは時間が余るくらいのレベルだが、まだまだ英文読書量が足りないのだと痛感する。

 

 

英語勉強法としてのゲーム実況動画

意外とオススメ。ドラマや映画と違って、日本語・英語字幕がなく彼らの言葉を耳で理解するしかないという逃げられない状況が良い。ゲーム好きであれば趣味ともマッチして苦にならないと思う。僕の場合、ご飯を食べながら垂れ流し、肩の力を抜いて楽しんでいた。

ただ、ゲーム実況動画をそもそも見ない人や、"英語勉強第一"な人は普通に英語テキストやフレンズなんかでリスニング・シャドーイングした方が効率は良いことは言うまでもない。

 

実践度という意味では、ラフな口語表現やネットスラングには強くなれる。Nativeが普段どんな感じで友人とゲームするのか、雑談するのか、ということに関しては映画よりもリアルな英語を知ることができると思う。

 

 

 

 

最後に、

FF7や10、また、最近発売されて話題になっているゴーストオブツシマなども多くのプレイヤーが配信・実況しているので、機会があれば感想を投稿しようと思う。

駐在員の英語力はどれくらいなのかという話

駐在員といえば英語ペラペラなイメージを世間一般の方は抱くだろう。特に先進国アメリカの駐在ともなれば、社内で厳しい競争を勝ち抜き、実務能力も傑出したものを求められる。もちろん英語なんかは電話で軽くJokeを挟みながら商談を進められるレベル。

 

 

なんてことはない。わけでもない。

つまりケースバイケース。その出向元の企業が現地の事業にどれほど比重を置いているかによるし、職種やポジションに大きく左右される。

ただし、この答えでは何も面白くないので、周囲の駐在員を例に英語力を考えてみる。

 

ボリュームゾーン:TOEIC 800 - 950。8割型正確な文法で読み書きができる。発音は上手ではなく流暢とも言えないが、1対1やビジネスシーンではほぼ正確な意思疎通はできる。ビジネス外の忖度のない場では会話についていくのが困難。

 

社内外で交流のある駐在員20人くらいで考えてみたが、体感ではこの層がほとんど。この数字、英語をある程度勉強しているサラリーマンはほぼ皆当てはまるかもしれない。つまり英語力に関していえば、ちょっと勉強すれば平均的な駐在員レベルにはすぐ到達するだろう。色々と話を聞いてみると、駐在足切りラインがTOEIC730点や800点に設定されている例が多いそう。さすがにTOEICで色塗りになるような層はほぼいない気がするが。

赤坂でのビザ大使館面接で、自分の前に並んでいた人が某有名銀行で東海岸駐在らしかったが、聞こえてきた英会話は意外と普通のレベルだったのが思い出される。

 

 

言及しなければいけないのは、1対1やビジネスの場では、そのような英語力を考慮してか会話スピードや内容が忖度されたものになることが多い。特に管理職として出向すれば、部下となる現地従業員はかなり気を遣うだろう。顧客側も、彼らの利益につながるので必死にこちらの言うことを聞くに違いない。イニエスタが日本語を話せなくとも、チームメイトは彼の話す言葉に必至に耳を傾けるのと同じことだろう。

残念ながら、自分の周りはこういった状況に胡坐をかいて英語力向上に努めない人が少なくない。弊社の場合、こちらの分が悪く、相手側がこちらに合わせる必要のない交渉時は、かなり苦戦を強いられる。現地従業員が大活躍する瞬間でもある。

 

とあるMBA体験ブログにも記載されていたが、英語力向上と感じていた手応えは、実は周囲の気遣いの賜物だったりする。幼稚園児と会話するときに会話レベルを落とすように、相手も日本人相手にそのような調整をしているのだ。もちろん、駐在員の使命は現地でビジネスを進めることであって、英語の流暢さは必要条件ではないことは言うまでもない。自分の英語力に過信をもたないことが大切で、ボリュームゾーンであるこの層が自覚していることを願いたい。

 

 

 

ちなみに、自分が接してきた駐在員の中で、ネイティブ同等のペラペラレベルだなと思った人は帰国子女以外でいない。

その領域とまでいかなくても、TOEIC満点・英検1級余裕の英語レベル、例えば英語系ユーチューバーのATSUさん(https://www.youtube.com/user/fzsdjbncf2000)クラスでも、数人しか思い浮かばない。残念ながら僕はその領域に達していない(いつか会話動画を挙げようと思っている)。

 

 

 

まとめると、アメリカにいる駐在員の英語力は意外と大したことない。なので、専門性×英語力(中途半端なものでない)があれば、日系企業の中ではかなりの希少性をもつことができ、優位なキャリアを送れると思われる。